潮風が気持ちいい房総フラワーライン

一度は走りたい、名ルート

都内に住むライダーにとって、必ず一度は走りたい名所ならぬ名ルートがありますが、そのひとつが房総フラワーラインです。
千葉の館山市から南房総までの海岸線をぐるっと周遊する道路で、特に伊豆から相浜までの約6kmは「日本の道百選」に選ばれるほど美しさです。

さらに、南部の平砂浦海岸は砂防用に植えられたクロマツ林が広がっています。
ここは「白松青松 100選」にも選ばれており、まさに名所のオンパレードといえます。

四季の花と景観を愛でる

房総といえば、まず菜の花を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
この房総フラワーラインのツーリングを最も楽しめるのは菜の花の絨毯が広がる2月終わりの早春ですが、それだけではありません。

時期によって違う花が咲き誇り、ルートを彩ってくれます。
夏の眩しい海岸線とマリーゴールドの風景にワクワクし、涼しくなり賑わいも落ちついた秋、温暖で走りやすい冬など、その時期に応じた景観を楽しめます。
何より、人気の割にはイライラするほどの渋滞が起こることは少なく、潮風を感じながら海岸線を走り抜ける爽快感は病みつきになるほどです。

寄り道も楽しめる

館山港付近から始まる房総フラワーラインは観光スポットや穴場が多いため、途中でルートから寄り道をするのも楽しいです。
数百メートル高地を走れば水平線を一望できる絶景に出会えるなど、走る場所や時間によって変化を感じられるのもポイントでしょう。

とはいえ、ルート上からでも白浜付近では岩礁と海を望めるので、あまり寄り道できない場合でも十分、目を楽しませてくれます。
半島先端付近などでは多少カーブがあるものの全体的には大きなアップダウンもなく、道幅もしっかりあるところがほとんどなので、ストレスなく走れます。

場所がら途中で温泉に立ち寄ったり、あちこちに点在する神社で安全祈願などの観光も手軽にできるので、ストイックに走り続けるというよりも、少しミーハー的に楽しむツーリングのほうが合っているかもしれません。

多彩な魅力で、リピーターに

青い海の側を走れる海岸線と花の美しいルートですが、赤山地下壕跡など戦跡も多く残っており、その数は関東最大級だといわれています。
南房総の温暖でゆるやかという一般的なイメージとは少し違いますが、その多様性こそが、最大の魅力なのではないかと思います。

豊かな自然に雑誌やドラマなどで有名なロケーション、漁港においしい料理店など日々の暮らしを感じられる風情といった「陽」の側面だけでなく、戦跡を訪れて静かに歴史に思いをはせてみるのもオススメです。

季節ごとに景観が変化するように、様々な顔を持つ房総フラワーライン。
キラキラと輝く菜の花の時期だけでなく、何度も走りたくなる名ルートといえるでしょう。