全体のペースをあわせる

仲間と楽しむツーリング

昔はバイクで出かける=ツーリングと呼んでいましたが、最近はひとりで走ることを「ソロツーリング」、複数人で走ることを「マスツーリング」と分けて呼ぶこともあります。
ひとりで気ままに楽しむのもバイクの醍醐味ですが、同じ空気や風景を共有する一体感や何かトラブルが起こったときに相談できる相手がいる心強さは魅力的です。
ただ、そんなマスツーリングにはいくつか注意すべきことがあります。
特にバイクに慣れていない初心者と一緒に走る場合は、まわりのケアが欠かせません。

焦りこそ、最大のリスク

誰かと一緒に走るとき、最も注意しなくてはいけないのが「焦り」です。
まだバイクに乗ると緊張してしまう初心者はもちろんですが、ひとりだとマイペースに走れる人も、複数だとなぜか焦ってしまいがちです。

駅の構内で、誰かが駆け出すと自分もつられて速足になることありませんか?
それと同じことがバイクの走行中に起こります。

先頭のライダーとの距離が離れてしまったときや、カーブが続く道で見失ってしまったとき、先を走っているバイクが車を追い越したときなどなど、ほんのちょっとしたことで「どうしよう!」と焦り、冷静に判断できなくなります。
事前にベテランライダーが「待ってるから大丈夫」と声をかけていたとしても、いざ、その場になると「あんまり待たせるのは悪い」と気を使い、距離をつめるため速く走ろうとして、まわりの状況が見えなくなってしまうものです。

交通量の少ないまっすぐな道ならばまだいいですが、車や歩行者の往来が多かったり、交差点やカーブがある道だと、急な飛び出しにブレーキが間に合わないことや曲がり切れないことも起こりえます。

みんな違うことを認識する

当たり前のことですが、いくらバイク仲間だといっても、車種や運転技術、経験値、体力などは人それぞれ違います。
仲間とのツーリングを安全に楽しむための第一歩は、その違いを認識することです。
例えば、バイク歴が長くてもソロツーリングが多い場合は、マスツーリングのベテランとはいえないでしょう。

走り慣れた人でも、前を走る人のスピードにはつられます。
少なくとも先頭や前のほうを走る人は、「自分と同じように走れるわけではない」ことを意識しないと、無茶な追い越しや運転を誘発する要因にもなります。

初心者をカバーしたペースで

ツーリングに必要なのは、バラバラだからこそ全体を合わせようとする意識だといえます。
そうでないとリスクが高まるのと同時に、一体感も薄れて、せっかくの楽しさも半減してしまいます。

では、何に合わせるべきなのでしょうか。
ズバリ、慣れていない初心者です。
といっても、初心者に先頭を任せるのは荷が重すぎますので、ベテランで前後を挟み、事前にルートや合流地点を相談するなど、とにかくコミュニケーションを取ります。

初心者をカバーしつつ、チームで楽しめるペースを作るには、過去にツーリングでヒヤッとした経験のあるベテランが先頭を走ってもらうといいですね。